マルチ商法(法律上は連鎖販売取引)に関する消費生活相談は、全国の消費生活センターに毎年数千件が寄せられています。本ページは、国民生活センターや消費者庁が公表する一次資料をもとに、「マルチ取引」の相談件数の推移、相談が多い年代の特徴、特定商取引法による規制の要点を、出典リンク付きで整理した統計リファレンスです。掲載している数値はすべて公的機関の公表値に基づいており、各項目に出典を明記しています。

この統計リファレンスの要点

  • 国民生活センターのPIO-NET集計では、「マルチ取引」の相談件数は2022年度が6,844件、2023年度が5,154件、2024年度が4,117件で、近年は減少傾向にあります(国民生活センター「マルチ取引(各種相談の件数や傾向)」、2025年8月1日更新、出典PIO-NET)。
  • 「マルチ取引」では20歳代からの相談が多いことが、同センターにより指摘されています。
  • 連鎖販売取引には、契約書面を受け取った日から20日間のクーリング・オフと、期間経過後も将来に向かって契約を解除できる中途解約権が特定商取引法で定められています(消費者庁「特定商取引法ガイド」連鎖販売取引)。

マルチ取引(連鎖販売取引)の相談件数の推移

国民生活センターが公表している「マルチ取引」の相談件数は次のとおりです。マルチ取引で扱われる商品・サービスは、健康食品、化粧品、学習教材、投資などが多いとされています。

年度相談件数
2022年度6,844件
2023年度5,154件
2024年度4,117件

2025年度は集計途上で、2025年5月31日時点の登録件数は415件(前年同期は489件)です。この時点の集計には消費生活センター等を経由した相談が含まれていないため、確定値ではありません。年度末に向けて件数は増加します(出典:国民生活センター「マルチ取引」)。

データの出典と定義について

上記の件数は、全国の消費生活センター等に寄せられた相談を蓄積するPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)の集計値です。「マルチ取引」は、商品・サービスを販売しながら会員を勧誘すると利益が得られるとして人々を組織的に加入させる取引を指す販売購入形態別の分類で、特定商取引法上の「連鎖販売取引」にあたる相談が多く含まれます。集計時点や分類方法により数値は変動するため、最新値は出典元でご確認ください。

年代別にみる特徴(20歳代・若者に多い傾向)

国民生活センターは、「マルチ取引」では20歳代からの相談が多いと指摘しています。SNSやマッチングアプリで知り合った相手から勧誘されるケース、友人・知人からの紹介で断りづらい状況で契約するケースなどが、相談事例として報告されています(国民生活センター「マルチ取引」)。

消費者庁の令和2年版消費者白書でも、商品を介さず投資や副業などの「もうけ話」で勧誘する「モノなしマルチ商法」について、20歳代の相談が増えており、20歳代の2019年の構成比は2010年の3倍以上になったと分析されています(消費者庁「令和2年版消費者白書」マルチ商法に関するトラブル)。この「モノなしマルチ商法」の具体的な見分け方はモノなしマルチ商法・投資勧誘の見分け方|「もうけ話」型の注意点で解説しています。2022年4月からは成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳・19歳が未成年者取消権を使えなくなったことから、若年層の被害には特に注意が必要です。18歳・19歳の契約の取消しについては18歳・19歳がマルチ商法を契約した時の取消し方法で解説しています。

連鎖販売取引に対する主な規制(制度の基礎知識)

連鎖販売取引は特定商取引法で規制されており、消費者を保護するための解約制度が定められています。原則は次のとおりです。

制度内容
クーリング・オフ法律で定められた書面を受け取った日(商品の引渡しがその後の場合は引渡日)から数えて20日以内であれば、無条件で契約を解除できます。
中途解約権クーリング・オフ期間の経過後も、消費者は将来に向かって契約を解除できます。商品販売契約については、入会後1年未満・引渡しから90日未満・未再販売・未使用未消費などの条件を満たせば解除できる場合があります。
妨害があった場合事業者が事実と異なることを告げたり威迫したりして消費者が誤認・困惑し、クーリング・オフをしなかった場合は、20日を過ぎていてもクーリング・オフができます。

以上は消費者庁「特定商取引法ガイド」連鎖販売取引の解説(消費者庁 no-trouble.caa.go.jp)に基づく原則です。個別の可否は契約内容や勧誘の経緯により異なります。20日を過ぎてしまった場合の考え方はクーリングオフ期限切れの場合の対処法もあわせてご覧ください。

相談する場合の手順

  1. 契約書面・概要書面、勧誘時のやり取り(SNSやメッセージの履歴を含む)、ローン契約書などを保管する
  2. 契約日と書面の受領日を確認し、20日以内であれば書面(内容証明郵便等)でクーリング・オフを通知する
  3. 判断に迷う場合は、消費者ホットライン「188(いやや)」から最寄りの消費生活センターに相談する(消費者庁・消費者ホットラインの案内
  4. 借入れをして契約した場合や被害額が大きい場合は、法テラスや弁護士への相談を検討する

借金をして契約してしまった場合の相談先はマルチ商法で借金した時の相談先、退会・解約の一般的な進め方はネットワークビジネスの解約手順で整理しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. マルチ商法の相談件数は増えていますか、減っていますか。

A. 国民生活センターのPIO-NET集計では、「マルチ取引」の相談件数は2022年度6,844件、2023年度5,154件、2024年度4,117件と、近年は減少傾向にあります。ただし集計時点や分類方法により数値は変動するため、最新の状況は出典元でご確認ください。

Q2. どの年代からの相談が多いのですか。

A. 国民生活センターは「マルチ取引」では20歳代からの相談が多いと指摘しています。特に、投資や副業などのもうけ話で勧誘する「モノなしマルチ商法」で若年層の相談が目立つとされています。

Q3. 契約から時間が経っていても解約できますか。

A. クーリング・オフは書面受領日から20日以内が原則ですが、書面の不備や勧誘時の不実告知・威迫があった場合は期間経過後も認められることがあります。また、期間経過後も中途解約権により将来に向かって契約を解除できる場合があります。個別の可否は消費生活センター等にご確認ください。

Q4. 統計の元データはどこで確認できますか。

A. 国民生活センターの「マルチ取引(各種相談の件数や傾向)」ページや、消費者庁の消費者白書で公表されています。本ページ末尾の出典欄にリンクを掲載しています。

出典・参考(一次情報)

免責事項

本ページは一般的な情報提供を目的とした統計リファレンスであり、契約解除・返金・被害回復を保証するものではありません。掲載した数値は各出典の公表時点のものであり、集計時点や分類方法の違いにより変動します。最新かつ正確な数値は各一次資料でご確認ください。個別の法的判断が必要な場合は、消費生活センター(消費者ホットライン188)、法テラス、弁護士等の専門家にご相談ください。